[平成26年4月1日現在法令等]
1 山林の納税猶予のあらまし
特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林(立木又は土地をいいます。)を有していた一定の被相続人から相続又は遺贈により特例施業対象山林の取得をした一定の相続人(「林業経営相続人」といいます。)が、自ら山林の経営(施業又はその施行と一体として行う保護をいいます。)を行う場合には、その林業経営相続人が納付すべき相続税のうち、特例山林に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます(猶予される相続税額を「山林納税猶予税額」といいます。)。
この山林納税猶予税額は、林業経営相続人が死亡した場合にはその納税が免除されます。
なお、免除に際しては、その死亡した日から同日以後6か月を経過する日までに、一定の書類を税務署に提出する必要があります。
また、山林納税猶予税額が免除されるときまでに、特例山林について山林経営の廃止、譲渡、転用などの一定の事由等が生じた場合には、山林納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。
(注)
1 「特定森林経営計画」とは、市町村長等の認定を受けた森林法第11条第1項に規定する森林経営計画であって、次の要件の全てを満たすものをいいます。 イ 対象となる山林が同一の者により一体として整備することを相当とするものとして租税特別措置法施行規則第23条の8の4第6項に規定されるものであること。
ロ 森林経営計画に森林法第11条第3項に規定する事項(山林の経営の規模拡大の目標及びその目標を達成するために必要な作業路網の整備など)が記載されていること。
ハ イ及びロのほか、森林経営計画の内容が同一の者による効率的な山林の経営を実現するために必要とされる租税特別措置法施行規則第23条の8の4第7項に規定する要件を満たしていること。
2 「特例山林」とは、特例施業対象山林のうち「2 納税猶予を受けるための要件(3)」に掲げる要件を満たす山林をいいます。
3 「特例施業対象山林」とは、被相続人がその被相続人の相続開始の直前に有していた山林のうち相続開始の前に特定森林経営計画が定められている区域内に存するもの(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存するものを除きます。)であって、次の要件の全てを満たすものをいいます。 イ 被相続人により相続開始の直前まで引き続き特定森林経営計画に従って適正かつ確実に経営が行われてきた森林であること。
ロ 特定森林経営計画に記載されている山林のうち作業路網の整備を行う部分が、同一の者により一体として効率的な施業を行うことができるものとして租税特別措置法施行令第40条の7の4第4項に規定する要件を満たしていること。
2 納税猶予を受けるための要件
この特例の適用を受けるためには、次の要件などを満たす必要があります。
(1) 被相続人の主な要件
被相続人は、次の①~③までのいずれにも該当する人であること。
① 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存するものを除きます。)であって作業路網の整備を行う部分の面積の合計が100ha以上である山林を所有している人
② 次のイからハの事項についてその死亡の前に農林水産大臣の確認を受けていた人 イ 特定森林経営計画の達成のため必要な機械その他の設備を利用できること
ロ 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林の全てについて、特定森林経営計画に従って適正かつ確実に経営及び作業路網の整備を行うものと認められること
ハ 特定森林経営計画に従って山林の経営の規模拡大を行うものと認められること
③ 特定森林経営計画に従って当初認定起算日から死亡の直前まで継続してその有する租税特別措置法施行令第40条の7の4第1項第3号に規定する山林の経営を適正かつ確実に行ってきた者として農林水産大臣の確認を受けてきた人
(注) 「当初認定起算日」とは、特定森林経営計画に係る被相続人(特定森林経営計画につき過去に森林法第17条第1項の規定の適用があった場合にあっては、最初の適用に係る認定所有者等)が市町村長等の認定を受けた特定森林経営計画(森林法第11条第3項に規定する事項が記載された最初のものに限ります。)の始期をいいます。
(2) 林業経営相続人の要件
林業経営相続人は、被相続人から相続又は遺贈によりその被相続人がその相続開始の直前に有していた全ての山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限ります。)を取得した個人であって、次の①から③までのいずれにも該当する人であること。
① 相続開始の直前において、被相続人の推定相続人である人
② 相続開始の時から申告期限(申告期限までに経営承継相続人等が死亡した場合は、その死亡の日)まで引き続き相続又は遺贈により取得した山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限ります。)の全てを有し、かつ、特定森林経営計画に従ってその経営を行っている人
③ 特定森林経営計画に従って山林の全ての経営を適正かつ確実に行うものと認められる要件として租税特別措置法施行規則第23条の8の4第8項に規定する要件を満たしている人
(3) 特例山林の要件
特例山林は、林業経営相続人が自ら経営を行うものであって、次の①から③までのいずれにも該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載したものであること。
① 特定森林経営計画において、作業路網の整備を行う山林として記載されている山林であること。
② 都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する山林でないこと。
③ 立木にあっては、相続開始の日からその立木が森林法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画に定める標準伐期齢(注1)に達する日までの期間が林業経営相続人の相続開始の時における平均余命(注2)と30年のうちいずれか短い期間を超える場合における立木であること。
1 森林法第10条の5第2項第5号の公益的機能別施業森林区域内に存する立木にあっては、租税特別措置法第23条の8の4第3項に規定する林齢をいいます。
2 平均余命とは、厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命(1年未満の端数を切り捨てた年数をいいます。)をいいます。
3 この特例は、相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した山林の全部又は一部について遺産分割がされていない場合には適用できません。
3 納税猶予を受けるための手続等
(1) 申告の手続
この特例を受けるためには、相続税の申告書を期限内に提出するとともに山林納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保(特例山林でなくても差し支えありません。)を提供する必要があります。
なお、この特例は、租税特別措置法第69条の5第1項に規定する特定計画山林の特例の適用を受ける場合には適用することができません。
(2) 納税猶予期間中の手続
この特例の適用を受けている林業経営相続人は、山林納税猶予税額の免除又は納税猶予税額の全部について納税の猶予が打ち切られるまでの間、原則として、施業整備期間にあっては当初認定起算日から1年ごとに、施業整備期間の末日の翌日から猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき納税の猶予に係る期限が確定するまでの期間にあってはその末日の翌日から3年を経過するごとに、引き続いてこの特例を受ける旨及び特例山林の経営に関する事項を記載した届出書(この届出書を「継続届出書」といいます。)を提出しなければなりません。
なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られ、山林納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。
1 「施業整備期間」とは、当初認定起算日(2(1)(注)参照)からその当初認定起算日以後10年を経過する日までの間にこの特例の適用に係る被相続人について相続が開始した場合における、その相続の開始の日の翌日からその10年を経過する日又はその相続に係る林業経営相続人の死亡の日のいずれか早い日までの期間をいいます。
2 「猶予中相続税額」とは、山林納税猶予税額から、既に確定した税額を除いた残額をいいます。
4 納税猶予税額の納付
(1) 山林納税猶予税額を納付しなければならない場合
次の表に掲げる場合に該当することとなったときは、その山林納税猶予税額の全部又は一部を納付しなければなりません。
(主な場合)
① 森林経営計画の認定が取り消されたり、継続して認定を受けることができなかった場合
(例) イ 「山林経営の規模拡大に関する目標」や「作業路網の整備に関する一定の水準」を達成できなかった場合
ロ 山林の経営の全部又は一部を他の者に委託した場合
ハ 他の山林の所有者からの経営の委託(森林経営計画が所在する林班内の山林についての委託に限ります。)の申出を拒んだ場合
など
② 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林について伐採、造林又は作業路網の整備のいずれも行わない年があった場合
③ 特例山林について、譲渡等又は路網未整備等があった場合
(注) 譲渡等とは、譲渡、贈与若しくは転用のほか、地上権、永小作権、使用貸借による権利若しくは賃借権の設定をいいます。
路網未整備等とは、作業路網の一部の整備が適正に行われていない場合又は一体的かつ効率的な経営に適さなくなった山林となった場合として租税特別措置法施行令第40条の7の4第12項に規定する場合をいいます。
④ 特例山林に係る山林の経営を廃止した場合
⑤ 所得税法第32条第1項に規定する山林所得に係る収入金額が零となった場合
⑥ この特例の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を提出した場合
⑦ 継続届出書の提出がなかった場合
(2) 納付すべき税額に係る利子税
納付すべき税額を上記(1)により納付する場合には、本税のほかに利子税の納付が必要となります。この場合の利子税は、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、原則として年3.6%の割合で計算した利子税を納める必要があります。
ただし、各年の特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合は、以下のとおりとなります。
(算式)
3.6%×特例基準割合(※)÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
(例) 特例基準割合(※)が1.9%の場合・・・0.9%
(注)特例基準割合(※)が変動すると利子税の割合も変動します。
※ 特例基準割合
【平成25年12月31日まで】
各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合
【平成26年1月1日以降】
各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
5 納税猶予額の免除
後継者が死亡した場合には、その死亡の日から同日以後6か月を経過する日までに、免除届出書を提出することにより、その死亡した時に納税猶予税額の全部について納付が免除されます。
(措法70の6の4、93、平24改正法附則41、平25改正法規則附則8、措令40の7の4、措規23の8の4)
出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4149.htm" target="_blank">山林を相続した場合の納税猶予</a>)
意見・感想
山林について相続が発生した場合には政策的な配慮から納税を免除等する方策が講じられています。ただその適用を受けるためには一定期間内に書類等を税務署に提出する必要があるので注意が必要です。税理士 茂見寛二
[平成26年4月1日現在法令等]
1 山林の納税猶予のあらまし
特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林(立木又は土地をいいます。)を有していた一定の被相続人から相続又は遺贈により特例施業対象山林の取得をした一定の相続人(「林業経営相続人」といいます。)が、自ら山林の経営(施業又はその施行と一体として行う保護をいいます。)を行う場合には、その林業経営相続人が納付すべき相続税のうち、特例山林に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます(猶予される相続税額を「山林納税猶予税額」といいます。)。
この山林納税猶予税額は、林業経営相続人が死亡した場合にはその納税が免除されます。
なお、免除に際しては、その死亡した日から同日以後6か月を経過する日までに、一定の書類を税務署に提出する必要があります。
また、山林納税猶予税額が免除されるときまでに、特例山林について山林経営の廃止、譲渡、転用などの一定の事由等が生じた場合には、山林納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。
(注)
1 「特定森林経営計画」とは、市町村長等の認定を受けた森林法第11条第1項に規定する森林経営計画であって、次の要件の全てを満たすものをいいます。 イ 対象となる山林が同一の者により一体として整備することを相当とするものとして租税特別措置法施行規則第23条の8の4第6項に規定されるものであること。
ロ 森林経営計画に森林法第11条第3項に規定する事項(山林の経営の規模拡大の目標及びその目標を達成するために必要な作業路網の整備など)が記載されていること。
ハ イ及びロのほか、森林経営計画の内容が同一の者による効率的な山林の経営を実現するために必要とされる租税特別措置法施行規則第23条の8の4第7項に規定する要件を満たしていること。
2 「特例山林」とは、特例施業対象山林のうち「2 納税猶予を受けるための要件(3)」に掲げる要件を満たす山林をいいます。
3 「特例施業対象山林」とは、被相続人がその被相続人の相続開始の直前に有していた山林のうち相続開始の前に特定森林経営計画が定められている区域内に存するもの(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存するものを除きます。)であって、次の要件の全てを満たすものをいいます。 イ 被相続人により相続開始の直前まで引き続き特定森林経営計画に従って適正かつ確実に経営が行われてきた森林であること。
ロ 特定森林経営計画に記載されている山林のうち作業路網の整備を行う部分が、同一の者により一体として効率的な施業を行うことができるものとして租税特別措置法施行令第40条の7の4第4項に規定する要件を満たしていること。
2 納税猶予を受けるための要件
この特例の適用を受けるためには、次の要件などを満たす必要があります。
(1) 被相続人の主な要件
被相続人は、次の①~③までのいずれにも該当する人であること。
① 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存するものを除きます。)であって作業路網の整備を行う部分の面積の合計が100ha以上である山林を所有している人
② 次のイからハの事項についてその死亡の前に農林水産大臣の確認を受けていた人 イ 特定森林経営計画の達成のため必要な機械その他の設備を利用できること
ロ 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林の全てについて、特定森林経営計画に従って適正かつ確実に経営及び作業路網の整備を行うものと認められること
ハ 特定森林経営計画に従って山林の経営の規模拡大を行うものと認められること
③ 特定森林経営計画に従って当初認定起算日から死亡の直前まで継続してその有する租税特別措置法施行令第40条の7の4第1項第3号に規定する山林の経営を適正かつ確実に行ってきた者として農林水産大臣の確認を受けてきた人
(注) 「当初認定起算日」とは、特定森林経営計画に係る被相続人(特定森林経営計画につき過去に森林法第17条第1項の規定の適用があった場合にあっては、最初の適用に係る認定所有者等)が市町村長等の認定を受けた特定森林経営計画(森林法第11条第3項に規定する事項が記載された最初のものに限ります。)の始期をいいます。
(2) 林業経営相続人の要件
林業経営相続人は、被相続人から相続又は遺贈によりその被相続人がその相続開始の直前に有していた全ての山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限ります。)を取得した個人であって、次の①から③までのいずれにも該当する人であること。
① 相続開始の直前において、被相続人の推定相続人である人
② 相続開始の時から申告期限(申告期限までに経営承継相続人等が死亡した場合は、その死亡の日)まで引き続き相続又は遺贈により取得した山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限ります。)の全てを有し、かつ、特定森林経営計画に従ってその経営を行っている人
③ 特定森林経営計画に従って山林の全ての経営を適正かつ確実に行うものと認められる要件として租税特別措置法施行規則第23条の8の4第8項に規定する要件を満たしている人
(3) 特例山林の要件
特例山林は、林業経営相続人が自ら経営を行うものであって、次の①から③までのいずれにも該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載したものであること。
① 特定森林経営計画において、作業路網の整備を行う山林として記載されている山林であること。
② 都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する山林でないこと。
③ 立木にあっては、相続開始の日からその立木が森林法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画に定める標準伐期齢(注1)に達する日までの期間が林業経営相続人の相続開始の時における平均余命(注2)と30年のうちいずれか短い期間を超える場合における立木であること。
(注)
1 森林法第10条の5第2項第5号の公益的機能別施業森林区域内に存する立木にあっては、租税特別措置法第23条の8の4第3項に規定する林齢をいいます。
2 平均余命とは、厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命(1年未満の端数を切り捨てた年数をいいます。)をいいます。
3 この特例は、相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した山林の全部又は一部について遺産分割がされていない場合には適用できません。
3 納税猶予を受けるための手続等
(1) 申告の手続
この特例を受けるためには、相続税の申告書を期限内に提出するとともに山林納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保(特例山林でなくても差し支えありません。)を提供する必要があります。
なお、この特例は、租税特別措置法第69条の5第1項に規定する特定計画山林の特例の適用を受ける場合には適用することができません。
(2) 納税猶予期間中の手続
この特例の適用を受けている林業経営相続人は、山林納税猶予税額の免除又は納税猶予税額の全部について納税の猶予が打ち切られるまでの間、原則として、施業整備期間にあっては当初認定起算日から1年ごとに、施業整備期間の末日の翌日から猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき納税の猶予に係る期限が確定するまでの期間にあってはその末日の翌日から3年を経過するごとに、引き続いてこの特例を受ける旨及び特例山林の経営に関する事項を記載した届出書(この届出書を「継続届出書」といいます。)を提出しなければなりません。
なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られ、山林納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。
(注)
1 「施業整備期間」とは、当初認定起算日(2(1)(注)参照)からその当初認定起算日以後10年を経過する日までの間にこの特例の適用に係る被相続人について相続が開始した場合における、その相続の開始の日の翌日からその10年を経過する日又はその相続に係る林業経営相続人の死亡の日のいずれか早い日までの期間をいいます。
2 「猶予中相続税額」とは、山林納税猶予税額から、既に確定した税額を除いた残額をいいます。
4 納税猶予税額の納付
(1) 山林納税猶予税額を納付しなければならない場合
次の表に掲げる場合に該当することとなったときは、その山林納税猶予税額の全部又は一部を納付しなければなりません。
(主な場合)
① 森林経営計画の認定が取り消されたり、継続して認定を受けることができなかった場合
(例) イ 「山林経営の規模拡大に関する目標」や「作業路網の整備に関する一定の水準」を達成できなかった場合
ロ 山林の経営の全部又は一部を他の者に委託した場合
ハ 他の山林の所有者からの経営の委託(森林経営計画が所在する林班内の山林についての委託に限ります。)の申出を拒んだ場合
など
② 特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林について伐採、造林又は作業路網の整備のいずれも行わない年があった場合
③ 特例山林について、譲渡等又は路網未整備等があった場合
(注) 譲渡等とは、譲渡、贈与若しくは転用のほか、地上権、永小作権、使用貸借による権利若しくは賃借権の設定をいいます。
路網未整備等とは、作業路網の一部の整備が適正に行われていない場合又は一体的かつ効率的な経営に適さなくなった山林となった場合として租税特別措置法施行令第40条の7の4第12項に規定する場合をいいます。
④ 特例山林に係る山林の経営を廃止した場合
⑤ 所得税法第32条第1項に規定する山林所得に係る収入金額が零となった場合
⑥ この特例の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を提出した場合
⑦ 継続届出書の提出がなかった場合
(2) 納付すべき税額に係る利子税
納付すべき税額を上記(1)により納付する場合には、本税のほかに利子税の納付が必要となります。この場合の利子税は、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、原則として年3.6%の割合で計算した利子税を納める必要があります。
ただし、各年の特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合は、以下のとおりとなります。
(算式)
3.6%×特例基準割合(※)÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
(例) 特例基準割合(※)が1.9%の場合・・・0.9%
(注)特例基準割合(※)が変動すると利子税の割合も変動します。
※ 特例基準割合
【平成25年12月31日まで】
各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合
【平成26年1月1日以降】
各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
5 納税猶予額の免除
後継者が死亡した場合には、その死亡の日から同日以後6か月を経過する日までに、免除届出書を提出することにより、その死亡した時に納税猶予税額の全部について納付が免除されます。
(措法70の6の4、93、平24改正法附則41、平25改正法規則附則8、措令40の7の4、措規23の8の4)
出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4149.htm" target="_blank">山林を相続した場合の納税猶予</a>)
意見・感想
山林について相続が発生した場合には政策的な配慮から納税を免除等する方策が講じられています。ただその適用を受けるためには一定期間内に書類等を税務署に提出する必要があるので注意が必要です。税理士 茂見寛二