相続財産から控除できる債務

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2014.11.25

[平成26年4月1日現在法令等]

 

相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額(相続時精算課税の適用を受ける贈与財産がある場合には、その価額を加算します。)から差し引くことができます。

 

1遺産総額から差し引くことができる債務

 

(1)債務

差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。

ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。

 

(2)葬式費用

葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。

 

2遺産総額から差し引くことができない債務

 

被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできません。

 

3債務や葬式費用を遺産総額から差し引くことができる人

 

債務などを差し引くことのできる人は、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含みます。)です。

 

(注)包括受遺者とは、遺言により遺産の全部又は何分のいくつというように遺産の全体に対する割合で財産を与えられた人のことをいいます。

 

なお、相続人や包括受遺者であっても、相続又は遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人で次のいずれにも該当しない人は、遺産総額から控除できる債務の範囲が限られ、葬式費用も控除することはできません。

 

(1)相続や遺贈によって財産をもらったときに日本国籍を有し、被相続人若しくは財産をもらった人が被相続人の死亡前5年以内に日本国内に住所を有したことがある

 

(2)相続や遺贈によって財産をもらったときに日本国籍を有しないが、被相続人が日本国内に住所を有していること

この(2)は、平成25年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

 

(相法1の3、13、14、21の15、21の16、平25改正法附則11、相令3、5の4、相基通13-6、13-9、14-5)

 

出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4126.htm" target="_blank">相続財産から控除できる債務</a>)

 

意見・感想

相続税の遺産総額から差し引くことが出来る葬式費用とは次のものをいいます。

①遺体の捜索または遺体や遺骨の運搬費用(遠隔地や病院から住所地までの交通費など)

②遺体や遺骨の回送費用(病院から自宅までの交通費など)

③葬儀から納骨までにかかった費用(葬儀を2度行っても認められます)

④葬儀等の前後の一般的な通夜などの費用

⑤葬儀に関わる常識的なお礼(お布施など)

なお、お香典は一般的には、喪主に対する贈与とみて相続財産には含みません。

税理士 茂見寛二

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