相続時精算課税の選択

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2014.11.12

[平成26年4月1日現在法令等]

 

1制度の概要

 

贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

 

2適用対象者

 

贈与者は65歳以上の親(※1)、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(※2)(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。

※1 平成27年1月1日以後は、「贈与者は60歳以上の親又は祖父母」となります。

※2 平成27年1月1日以後は、「又は20歳以上の孫」が追加されます。

 

 

3適用対象財産等

 

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

 

4税額の計算

 

(1)贈与税額の計算

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。

その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。

 

(注)相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。

 

(2)相続税額の計算

相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。

 

5適用手続

 

相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子、平成27年以後は「子又は孫」)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。

相続時精算課税は、受贈者(子、平成27年以後は「子又は孫」)が贈与者(父母、平成27年以後は「父母又は祖父母」)ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

(関係法令等 相法21の2、21の5、21の9~21の16、28、33の2、相令5、相規10、11、措法70の2の3、70の2の5)

 

出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm" target="_blank">相続時精算課税の選択</a>)

 

意見・感想

制度が開始されて10年あまり経過しますが、その利用はさほど広まってないように思われます。その要因としては、①制度が複雑で分りにくい(必ず節税できると断定しづらい)②一度この制度を選択すると通常の贈与税に戻せない(110万円の暦年基礎控除も使えない)といったことが考えられます。2015年1月1日からの相続税の基礎控除額の引き下げと相まって、より一層利用は低調になるかも知れません。税理士 茂見寛二

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