[平成26年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
国税は、金銭で一時に納付することが原則です。しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
これを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
2 延納の要件
次に掲げる全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
(1) 相続税が10万円を超えること。
(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
(3) 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
ただし、延納税額が50万円未満(※)で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
※平成27年4月1日以後に提出する申請書により延納の許可を受ける場合は、「100万円以下」となります。
(4) 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
3 担保の種類
延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。
なお、相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。
(1) 国債及び地方債
(2) 社債、その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
(3) 土地
(4) 建物、立木、登記された船舶などで保険に附したもの
(5) 鉄道財団、工場財団などの財団
(6) 税務署長が確実と認める保証人の保証
※ 税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることとなります。
4 担保提供関係書類の提出期限
納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して提出する必要があります。ただし、延納申請期限までに担保提供関係書類を提供することができない場合は、担保提供関係書類提出期限延長届出書を提出することにより、1回につき3か月を限度として、最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。
5 延納の許可までの審査期間
延納申請書が提出された場合、税務署長は、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。
なお、延納担保などの状況によっては、許可又は却下までの期間を最長で6か月まで延長する場合があります。
6 延納期間及び延納利子税
延納のできる期間と延納税額に係る利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、おおむね次の表のようになります。
なお、各年の延納特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。
(算式)
延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合(※)÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
※ 延納特例基準割合
各分納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
相続税の延納期間及び延納に係る利子
※この表の「特例割合」は、平成27年1月1日現在の「延納特例基準割合」1.8%で計算しています。
したがって、「延納特例基準割合」の変更があった場合には、次の表の「特例割合」も変動しますので、延納申請に際し所轄税務署で確認願います。
延納期間(最高) 延納利子税割合(年割合) 特例割合※(年割合)の順です
不動産等の割合が75%以上の場合
1動産等に係る延納相続税額
10年 5.4% 1.3%
2不動産等に係る延納相続税額(3を除く)
20年 3.6% 0.8%
3計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
20年 1.2% 0.2%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合
4動産等に係る延納相続税額
5不動産等に係る延納相続税額(6を除く)
15年 3.6% 0.8%
6計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
不動産等の割合が50%未満の場合
7一般の延納相続税額(8、9及び10を除く)
5年 6.0% 1.4%
8立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(10を除く)
5年 4.8% 1.1%
9特別緑地保全地区内の土地に係る延納相続税額
5年 4.2% 1.0%
10計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
5年 1.2% 0.2%
詳しくは、「相続税・贈与税の延納の手引」をご覧ください。(延納・物納申請等の手続)
7 特定物納制度(延納から物納への変更)
延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。
特定物納申請をした場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、当初の延納条件による利子税を納付することとなります。
なお、特定物納に係る財産の収納価額は、特定物納申請書を提出した時の価額となります。
※ 上記については、平成18年4月1日以後の相続開始により財産を取得した場合に適用されます。
なお、平成18年3月31日以前の相続開始により財産を取得した場合には、改正前の相続税法が適用され、上記の担保提供関係書類の提出期限、延納の許可までの審査期間及び特定物納制度の適用はありません。
延納・物納申請等の手続については、延納・物納申請等の手続をご覧ください。
(相法38、39、48の2、52、相令12~15、通法50、措法70の10、70の11、93、措令40の11)
出典:国税庁ウェブサイト(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4211.htm)
意見・感想
相続税の納付は金銭が原則ですが、相続財産はもちろん金銭だけに限ったものではなく、土地、建物といった不動産などもふくまれます。そういった即時に金銭に換金することが難しい資産を相続した際の制度となります。延納の際の利息は延滞税のそれ(原則年7.3%と14.6%)よりも低いものとなっています。税理士 茂見寛二
[平成26年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
国税は、金銭で一時に納付することが原則です。しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
これを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
2 延納の要件
次に掲げる全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
(1) 相続税が10万円を超えること。
(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
(3) 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
ただし、延納税額が50万円未満(※)で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
※平成27年4月1日以後に提出する申請書により延納の許可を受ける場合は、「100万円以下」となります。
(4) 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
3 担保の種類
延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。
なお、相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。
(1) 国債及び地方債
(2) 社債、その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
(3) 土地
(4) 建物、立木、登記された船舶などで保険に附したもの
(5) 鉄道財団、工場財団などの財団
(6) 税務署長が確実と認める保証人の保証
※ 税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることとなります。
4 担保提供関係書類の提出期限
納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して提出する必要があります。ただし、延納申請期限までに担保提供関係書類を提供することができない場合は、担保提供関係書類提出期限延長届出書を提出することにより、1回につき3か月を限度として、最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。
5 延納の許可までの審査期間
延納申請書が提出された場合、税務署長は、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。
なお、延納担保などの状況によっては、許可又は却下までの期間を最長で6か月まで延長する場合があります。
6 延納期間及び延納利子税
延納のできる期間と延納税額に係る利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、おおむね次の表のようになります。
なお、各年の延納特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。
(算式)
延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合(※)÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
※ 延納特例基準割合
各分納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
相続税の延納期間及び延納に係る利子
※この表の「特例割合」は、平成27年1月1日現在の「延納特例基準割合」1.8%で計算しています。
したがって、「延納特例基準割合」の変更があった場合には、次の表の「特例割合」も変動しますので、延納申請に際し所轄税務署で確認願います。
延納期間(最高) 延納利子税割合(年割合) 特例割合※(年割合)の順です
不動産等の割合が75%以上の場合
1動産等に係る延納相続税額
10年 5.4% 1.3%
2不動産等に係る延納相続税額(3を除く)
20年 3.6% 0.8%
3計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
20年 1.2% 0.2%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合
4動産等に係る延納相続税額
10年 5.4% 1.3%
5不動産等に係る延納相続税額(6を除く)
15年 3.6% 0.8%
6計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
20年 1.2% 0.2%
不動産等の割合が50%未満の場合
7一般の延納相続税額(8、9及び10を除く)
5年 6.0% 1.4%
8立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(10を除く)
5年 4.8% 1.1%
9特別緑地保全地区内の土地に係る延納相続税額
5年 4.2% 1.0%
10計画伐採立木の割合が20%以上の計画伐採立木に係る延納相続税額
5年 1.2% 0.2%
詳しくは、「相続税・贈与税の延納の手引」をご覧ください。(延納・物納申請等の手続)
7 特定物納制度(延納から物納への変更)
延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。
特定物納申請をした場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、当初の延納条件による利子税を納付することとなります。
なお、特定物納に係る財産の収納価額は、特定物納申請書を提出した時の価額となります。
※ 上記については、平成18年4月1日以後の相続開始により財産を取得した場合に適用されます。
なお、平成18年3月31日以前の相続開始により財産を取得した場合には、改正前の相続税法が適用され、上記の担保提供関係書類の提出期限、延納の許可までの審査期間及び特定物納制度の適用はありません。
延納・物納申請等の手続については、延納・物納申請等の手続をご覧ください。
(相法38、39、48の2、52、相令12~15、通法50、措法70の10、70の11、93、措令40の11)
出典:国税庁ウェブサイト(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4211.htm)
意見・感想
相続税の納付は金銭が原則ですが、相続財産はもちろん金銭だけに限ったものではなく、土地、建物といった不動産などもふくまれます。そういった即時に金銭に換金することが難しい資産を相続した際の制度となります。延納の際の利息は延滞税のそれ(原則年7.3%と14.6%)よりも低いものとなっています。税理士 茂見寛二