[平成26年4月1日現在法令等]
1特例の概要
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
(注)
1被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます(以下同じです。)。
2宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られます(以下同じです。)。
2減額される割合等
相続の開始のあった日が「平成26年12月31日まで」と「平成27年1月1日以後」で、限度面積が異なりますのでご注意ください。
(1)相続の開始のあった日が「平成26年12月31日まで」の場合
平成22年4月1日以後平成26年12月31日までに相続の開始のあった被相続人に係る相続税について、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
○相続の開始の日が「平成26年12月31日まで」の場合
①被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業以外の事業用の宅地等
特定事業用宅地等に該当する宅地等
400平方メートル
80%
②被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等
特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等
③被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用宅地等に該当する宅地等
200平方メートル
50%
④被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等
➄被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
相続人等の事業の用に供されていた宅地等
⑥被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
特定居住用宅地等に該当する宅地等
240平方メートル
1「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます(以下同じです。)。
2「一定の法人」とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において精算中の法人を除きます。)をいいます。
3「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
A+(B×5/3)+(C×2)≦400平方メートル
A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(①+②)
B:「特定居住用宅地等」の面積の合計(⑥)
C:「貸付事業用宅地等」の面積の合計(③+④+➄)
(2)相続の開始のあった日が「平成27年1月1日以後」の場合
平成27年1月1日以後に相続の開始のあった被相続人に係る相続税について、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
○相続の開始の日が「平成27年1月1日以後」の場合
①被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
330平方メートル
特定事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等(一定の法人の事業の用に供されてい たものに限ります。)
特例の適用を選択する宅地等が次の1又は2のいずれに該当するかに応じて、限度面積を判定します。
1特定居住用宅地等(①)又は特定事業用宅地等(②又は③)を選択する場合
①≦330平方メートルであること。また、(②+③)≦400平方メートルであること。
2貸付事業用宅地等(④)及びそれ以外の宅地等(①、②又は③)を選択する場合
①×200/330 +(②+③)×200/400+④≦200平方メートルであること。
3特例の対象となる宅地等
この特例は、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等のいずれかに該当する宅地等であることが必要です。
(1)特定事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
○特定事業用宅地等の要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件
その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
(2)特定居住用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。
また、平成26年1月1日以後に相続開始があった場合には、特定居住用宅地等の取扱いについて、次の事項の改正が行われています。
①二世帯住宅に居住していた場合
被相続人と親族が居住するいわゆる二世帯住宅の敷地の用に供されている宅地等について、二世帯住宅が構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされている建物を除き、一定の要件を満たすものである場合には、その敷地全体について特例の適用ができるようになりました。
②老人ホームなどに入居又は入所していた場合
次のような理由により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等について、一定の要件を満たす場合には、特例の適用ができるようになりました。ただし、被相続人の居住の用に供さなくなった後に事業の用又は被相続人等以外の者の居住の用とした場合を除きます。
イ 要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が次の住居又は施設に入居又は入所していたこと
A認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
B介護老人保健施設
Cサービス付き高齢者向け住宅
ロ 障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設などに入所又は入居していたこと
○特定居住用宅地等の要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者
「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と同居していた親族
相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
被相続人と同居していない親族
①から③の全てに該当する場合で、かつ、次の④及び➄の要件を満たす人
①相続開 始の時において、被相続人若しくは相続人が日本国内に住所を有していること、又は、相続人が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること
②被相続人に配偶者がいないこと
③被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家 屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと
④相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋 (相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
➄その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等
被相続人と生計を一にしていた親族
相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
(3)特定同族会社事業用宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、次表の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(一定の法人の事業の用に供されている部分で、次表に掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
○特定同族会社事業用宅地等
一定の法人の事業の用に供されていた宅地等
法人役員要件
相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員 (清算人を除きます。)をいいます。)であること。
(4)貸付事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
○貸付事業用宅地等の要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。
(5)日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等
平成19年9月30日以前に被相続人又は被相続人の相続人と旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するために貸し付けられていた一定の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち、平成19年10月1日から相続の開始の直前までの間において、その賃貸借契約の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き、平成19年10月1日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局の用に供するため郵便局株式会社に、平成24年10月1日から相続開始の直前までの間にあっては郵便局の用に供するため日本郵便株式会社に対し貸し付けられていた一定の建物(以下「郵便局舎」といいます。)の敷地の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した相続人から相続の開始の日以後5年以上その郵便局舎を日本郵便株式会社が引き継ぎ借り受けることにより、その宅地等を同日以後5年以上郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて総務大臣の証明がなされた宅地等については、特定事業用宅地等に該当するものとして、この特例の適用を受けることができます。
4特例を受けるための手続
この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に、この特例を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります。
(措法69の4、措令40の2、措規23の2、措通69の4-27)
出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm" target="_blank">相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例</a>)
意見・感想
利用者が多い制度になります。特に相続があった時期、区分、要件などによって減額を受けられる限度面積及び減額割合が変わってきますので特に注意が必要となります。税理士 茂見寛二
[平成26年4月1日現在法令等]
1特例の概要
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
(注)
1被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます(以下同じです。)。
2宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られます(以下同じです。)。
2減額される割合等
相続の開始のあった日が「平成26年12月31日まで」と「平成27年1月1日以後」で、限度面積が異なりますのでご注意ください。
(1)相続の開始のあった日が「平成26年12月31日まで」の場合
平成22年4月1日以後平成26年12月31日までに相続の開始のあった被相続人に係る相続税について、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
○相続の開始の日が「平成26年12月31日まで」の場合
①被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業以外の事業用の宅地等
特定事業用宅地等に該当する宅地等
400平方メートル
80%
②被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等
特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等
400平方メートル
80%
③被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等
貸付事業用宅地等に該当する宅地等
200平方メートル
50%
④被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等
貸付事業用宅地等に該当する宅地等
200平方メートル
50%
➄被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用宅地等に該当する宅地等
200平方メートル
50%
⑥被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
特定居住用宅地等に該当する宅地等
240平方メートル
80%
(注)
1「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます(以下同じです。)。
2「一定の法人」とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において精算中の法人を除きます。)をいいます。
3「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
A+(B×5/3)+(C×2)≦400平方メートル
A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(①+②)
B:「特定居住用宅地等」の面積の合計(⑥)
C:「貸付事業用宅地等」の面積の合計(③+④+➄)
(2)相続の開始のあった日が「平成27年1月1日以後」の場合
平成27年1月1日以後に相続の開始のあった被相続人に係る相続税について、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
○相続の開始の日が「平成27年1月1日以後」の場合
①被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
特定居住用宅地等に該当する宅地等
330平方メートル
80%
②被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業以外の事業用の宅地等
特定事業用宅地等に該当する宅地等
特定事業用宅地等
400平方メートル
80%
③被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等(一定の法人の事業の用に供されてい たものに限ります。)
特定事業用宅地等
400平方メートル
80%
④被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
貸付事業用の宅地等
貸付事業用宅地等に該当する宅地等
200平方メートル
50%
(注)
特例の適用を選択する宅地等が次の1又は2のいずれに該当するかに応じて、限度面積を判定します。
1特定居住用宅地等(①)又は特定事業用宅地等(②又は③)を選択する場合
①≦330平方メートルであること。また、(②+③)≦400平方メートルであること。
2貸付事業用宅地等(④)及びそれ以外の宅地等(①、②又は③)を選択する場合
①×200/330 +(②+③)×200/400+④≦200平方メートルであること。
3特例の対象となる宅地等
この特例は、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等のいずれかに該当する宅地等であることが必要です。
(1)特定事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
○特定事業用宅地等の要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件
その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
(2)特定居住用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。
また、平成26年1月1日以後に相続開始があった場合には、特定居住用宅地等の取扱いについて、次の事項の改正が行われています。
①二世帯住宅に居住していた場合
被相続人と親族が居住するいわゆる二世帯住宅の敷地の用に供されている宅地等について、二世帯住宅が構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされている建物を除き、一定の要件を満たすものである場合には、その敷地全体について特例の適用ができるようになりました。
②老人ホームなどに入居又は入所していた場合
次のような理由により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等について、一定の要件を満たす場合には、特例の適用ができるようになりました。ただし、被相続人の居住の用に供さなくなった後に事業の用又は被相続人等以外の者の居住の用とした場合を除きます。
イ 要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が次の住居又は施設に入居又は入所していたこと
A認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
B介護老人保健施設
Cサービス付き高齢者向け住宅
ロ 障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設などに入所又は入居していたこと
○特定居住用宅地等の要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者
「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人と同居していた親族
相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人と同居していない親族
①から③の全てに該当する場合で、かつ、次の④及び➄の要件を満たす人
①相続開 始の時において、被相続人若しくは相続人が日本国内に住所を有していること、又は、相続人が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること
②被相続人に配偶者がいないこと
③被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家 屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと
④相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋 (相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
➄その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者
「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等
被相続人と生計を一にしていた親族
相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
(3)特定同族会社事業用宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、次表の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(一定の法人の事業の用に供されている部分で、次表に掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
○特定同族会社事業用宅地等
一定の法人の事業の用に供されていた宅地等
法人役員要件
相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員 (清算人を除きます。)をいいます。)であること。
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
(4)貸付事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
○貸付事業用宅地等の要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件
その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
(5)日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等
平成19年9月30日以前に被相続人又は被相続人の相続人と旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するために貸し付けられていた一定の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち、平成19年10月1日から相続の開始の直前までの間において、その賃貸借契約の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き、平成19年10月1日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局の用に供するため郵便局株式会社に、平成24年10月1日から相続開始の直前までの間にあっては郵便局の用に供するため日本郵便株式会社に対し貸し付けられていた一定の建物(以下「郵便局舎」といいます。)の敷地の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した相続人から相続の開始の日以後5年以上その郵便局舎を日本郵便株式会社が引き継ぎ借り受けることにより、その宅地等を同日以後5年以上郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて総務大臣の証明がなされた宅地等については、特定事業用宅地等に該当するものとして、この特例の適用を受けることができます。
4特例を受けるための手続
この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に、この特例を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります。
(措法69の4、措令40の2、措規23の2、措通69の4-27)
出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm" target="_blank">相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例</a>)
意見・感想
利用者が多い制度になります。特に相続があった時期、区分、要件などによって減額を受けられる限度面積及び減額割合が変わってきますので特に注意が必要となります。税理士 茂見寛二