平成26年1月からの記帳・帳簿等の保存制度

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2014.09.18

個人の白色申告の方で事業や不動産貸付等を行う全ての方は、平成26年1月から記帳と帳簿書類の保存が必要です。

※ これまでの記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、白色申告の方のうち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超えた方です。

※ 税務署では、白色申告の方で、新たに記帳を行う方や記帳の仕方がわからない方のために、記帳・帳簿等の保存制度の概要や記帳の仕方等を説明する「記帳説明会」を実施しています。

 詳しくは、「記帳説明会のご案内」をご覧ください。

対象となる方

 事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う全ての方です。

 ※ 所得税及び復興特別所得税の申告が必要ない方も、記帳・帳簿等の保存制度の対象となります。

記帳する内容

 売上げなどの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を帳簿に記載します。

 記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。

【簡易な方法による記帳】

帳簿等の保存

 収入金額や必要経費を記載した帳簿のほか、取引に伴って作成した帳簿や受け取った請求書・領収書などの書類を保存する必要があります。

 

【帳簿・書類の保存期間】

 

保存が必要なもの                       保存期間

 

帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)       7年

   業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)      5年

 

書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類          5年

   業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、

   送り状、領収書などの書類

 

簡易な方法による記帳

 事業所得等を有する白色申告の方については、簡易な方法による記帳が認められています。

 簡易な方法による記帳については、以下のとおりです。

事業所得(一般)

 

取引事項                          

 

1 売上(加工その他の役務の給付等売上と同様の性質を有する収入金額及び家事消費等を含む。)に関する事項

 

記帳方法

 

 取引の年月日、売上先その他の相手方及び金額並びに日々の売上の合計金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な現金売上については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)小売その他これに類するものを行う者の現金売上については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(3)保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できる取引については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(4)掛売上の取引で保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、現実に代金を受け取つた時に現金売上として記載する。この場合には、年末における売掛金の残高を記載するものとする。

(5)いわゆる時貸については、日々の記載を省略し、現実に代金を受け取つた時に現金売上として記載する。この場合には、年末における時貸の残高を記載するものとする。

(6)棚卸資産の家事消費等については、年末において、消費等をしたものの種類別に、その合計金額を見積もり、当該合計金額のみを一括記載する。

2 1に掲げるもの以外の収入に関する事項

 

 取引の年月日、事由、相手方及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な雑収入等については、その事由ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)現実に入金した時に記載する。この場合には、年末における雑収入等の未収額及び前受額を記載するものとする。

3 仕入に関する事項

 

 取引の年月日、仕入先その他の相手方及び金額並びに日々の仕入の合計金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。 (1) 少額な現金仕入については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2) 保存している納品書、請求書等によりその内容を確認できる取引については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(3) 掛仕入の取引で保存している納品書、請求書等によりその内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、現実に代金を支払つた時に現金仕入として記載する。この場合には、年末における買掛金の残高を記載するものとする。

(4) いわゆる時借については、日々の記載を省略し、現実に代金を支払つた時に現金仕入として記載する。この場合には、年末における時借の残高を記載するものとする。

4 3に掲げるもの以外の費用に関する事項

 

 雇人費、外注工賃、減価償却費、貸倒金、地代家賃、利子割引料及びその他の経費の項目に区分して、それぞれその取引の年月日、事由、支払先及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)現実に出金した時に記載する。この場合には、年末における費用の未払額及び前払額を記載するものとする。

農業所得

取引事項

 

 

1 収入に関する事項

(1)農産物(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第四十一条第一項の農産物をいう。以下この表において同じ。)の収穫に関する事項

(2) 農産物、繭、畜産物等の売上、家事消費等に関する事項

 

 記帳方法

 

 収穫の年月日、農産物の種類及び数量を記載する。ただし、米、麦その他の穀物以外の農産物については、収穫に関する事項の記載を省略することができる。

 

取引の年月日、売上先その他取引の相手方及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な現金売上については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できる取引については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(3)掛売上の取引で保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、現実に代金を受け取つた時に現金売上として記載する。この場合には、年末における売掛金の残高を記載するものとする。

(4)農産物の事業用消費若しくは家事消費等又は繭、畜産物等の家事消費等については、年末において、消費等をしたものの種類別にその合計を見積もり、それぞれその合計数量及び合計金額のみを一括記載する。

2 費用に関する事項

(1)農産物の収穫価額に関する事項

(2)(1)に掲げるもの以外の費用に関する事項

  収穫の年月日、農産物の種類及び数量を記載する。ただし、米、麦その他の穀物以外の農産物については、収穫に関する事項の記載を省略することができる。

  雇人費、小作料、減価償却費、貸倒金、利子割引料及びその他の経費の項目に区分して、それぞれその取引の年月日、事由、支払先及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)まだ収穫しない農産物、未成育の牛馬等又は未成熟の果樹等について要した費用は、年末においてその整理を行う。

(3)自ら収穫した農産物で肥料、飼料等として自己の農業に消費するものの事業用消費については、年末において、消費したものの種類別にその合計を見積もり、それぞれその合計数量及び合計金額のみを一括記載する。

(4)現実に出金した時に記載する。この場合には、年末における費用の未払額及び前払額を記載するものとする。

不動産所得

 

取引事項

1 収入に関する事項

2 費用に関する事項

 

記帳方法

 

賃貸料、雑収入のようにそれぞれ適宜な項目に区分して、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額を記載する。ただし、保存している契約書、領収書控等によりその内容を確認できる取引については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載することができる。

雇人費、減価償却費、貸倒金、地代、借入金利子及びその他の経費の項目に区分して、それぞれその取引の年月日、事由、支払先及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)現実に出金した時に記載する。この場合には、年末における費用の未払額及び前払額を記載するものとする。

山林所得

取引事項

1 山林の伐採、譲渡、家事消費等の収入に関する事項

 

記帳方法

 

取引の年月日、売上先その他の相手方及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できる取引については、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)掛売上の取引で保存している納品書控、請求書控等によりその内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、現実に代金を受け取つた時に現金売上として記載する。この場合には、年末における売掛金の残高を記載するものとする。

(3)山林の家事消費等については、年末において、消費等をしたものの種類別に、その合計金額を見積もり、当該合計金額のみを一括記載する。

2 費用に関する事項

 

 雇人費、減価償却費、貸倒金、利子割引料及びその他の経費の項目に区分して、それぞれその取引の年月日、事由、支払先及び金額を記載する。ただし、次に掲げるところによることができる。

(1)少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。

(2)まだ伐採又は譲渡をしない山林について要した費用は、年末においてその整理を行う。

(3)現実に出金した時に記載する。この場合には、年末における費用の未払額及び前払額を記載するものとする。

出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kojin_jigyo/index.htm" target="_blank">個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について</a>)

意見・感想

白色申告と青色申告の差異が益々少なくなっていく昨今、青色申告の特典を考慮すると積極的に青色申告に取り組むべきではないかと考えます。

特に銀行からの借入をご予定されていらっしゃるなら、尚のこと青色申告を目指すべきでないかと感じます。税理士 茂見寛二

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